以下の文では、目的語(「水」)に続く助詞は、「が」で受けた方がより語法に忠実であり、(1)(2)はいずれも意味が通じるものの、述語が「意志」(欲しい、〜したい)や「能力」(〜できる)、感情(好き、嫌い)に関する言葉の場合は、「が」で受けるようにしましょうというものでした。
助詞の使い方が重要
- 私は水が飲みたい
- 私は水を飲みたい
- Webサイトがリニューアルした。
- Webサイトがリニューアルされた。
- Webサイトをリニューアルした。
- Webサイトをリニューアルさせた。
(1)は「Webサイト」そのものを主語に、リニューアルという状態変化が起きたというニュアンスで、(2)はその受身形です。一方、(3)は私たちは、あるいは我が社は、などの主語が隠れています。いわば、Webサイトのリニューアルという状態変化をもたらした主体を読み手に意識させる文といえます。(4)はその使役形です。
本来の意味から考えれば、リニューアルという結果は、誰かの人の手によるものですから、(3)のように書くのがよいように思います。しかし、色々と調べてみると、(1)〜(4)は文法上はどれも間違いとはいえないようです。
ですから、書き手としていえることは、「この文は、『私たち』という主語があって『Webサイト』が目的語なので、助詞は『を』を使いました」というように根拠を説明できるようにしておくか、あるいは、「こういう表現をする場合はこういう言い回しをしましょう」というように、表現を統一することが大事だと思います。
ネット上をちょっと検索すると、「Webサイトのリニューアルをいたしました。」なんていう文まで出てきますので、それほどまでに日本語は表現の自由度の高い言葉ということでしょうね。
“リニューアル問題”だけじゃない、似たような“漏えい問題”
上記の例を、私は勝手に「リニューアル問題」などと呼んでいますが、同じような例として、以下のような「漏えい問題」もあります。- 情報が漏えいする。
- 情報を漏えいさせる。
- 情報を漏えいする。
つまり、(1)(2)はどちらも言い回しとしては正しいことになります。さらに、(3)も、「ウィルスが」「社員が」という主語が隠れていると見れば、間違った表現とはいえません。
今回は細かい話でしたが、実際に書くという現場では、「正しく書く」ために様々な悩ましい問題に直面します。
上記の例では、結論は「正解がない」ということでした。では、どのように書いてもいいかというとそうではないと思います。ビジネスの現場で直面する実用文においては、書き手は「正しく書く」ということが求められてきますし、そのためには、「原則は何か」を知った上で、「こういう表現にした根拠はどこにあるのか」を意識して書くということが大事なのですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿